軽速山歩

登山者が実践するファスト・パッキングスタイルへの道

PAAGO WORKS (パーゴワークス)BUDDY 16(バディ16)

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【レビュー】主にタウンユース目的で購入したが、触れば触るほど用途の幅の広さを感じさせる「バディ16」。インプレッションと簡単なレビューを書いてみる。

 

2020年春に発売したばかりのモデルなのでまだネット上にレビューも少なく、どのレビューも公式サイトに書いてある文言と同じようなことが書いてあるのみで、それ以上の情報がイマイチ少ない。お店で現物を見ることができれば良いのだが昨今はそれも叶い難い状況が続いていた。ということで、一度も実物を見ず購入するのは一抹の不安があったが、現物を見ると、やはり流石パーゴワークス、不安は杞憂となった。

 

「バディ」シリーズには既に33リットルと22リットルのクラスがある。これらのバディたちは第一印象で明らかにハイキング、トレッキング用のイメージが浮かぶが、バディ16は一味違っていて、なかなか用途を限定しにくいと感じた。タウンユースもいけるし、もちろんハイキングも可能だし、荷物を削ってファストパッキング的に使えばオーバーナイトの山行にも対応できるかも?と思わせてくれる。

 

バディ16の何がそう思わせるのかというと、そのシンプルさと容量の小ささである。他クラスのバディシリーズは容量が大きい分、構成パーツも多く、比較すると外見にゴチャっとした印象が出てきてしまう。大型フロントポケットもあると便利ではあるが、どうしても存在感が強くなって、用途も限られてくる。

 

ザックは容量が小さければ小さいほど見た目がシンプルな方が使い勝手が良い。何より、シンプルであればあるほど用途の自由度が増してくる。下手なポケットを外にいくつかつけるより、使いやすい大きな一つの荷室だけがあったほうが良い。となるとUL系のパックや、昔ながらのアタックザックなどがその類に当てはまる。ミニマリスト的な発想で言えばそれだけでも十分なのだが、日常での使い勝手を考えると、多少のポケットがあった方が尚良いし、荷物の出し入れもしやすい方が良い。

 

バディ16はとにかくシンプルな1気室のバックパックであり、巾着型のULスタイル的な佇まいを備えつつも、荷物の出し入れのしやすさを向上させている。そして最低限かつ目立たないポケットも完備し、日常での使い勝手も高めているところが素晴らしい。

 

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開口部はジッパー式を採用。ドローコード式と比べて容量の拡張性は無いが、大型ザックのようにたくさん物を入れるわけではないので、あまり気にならない。ジッパー式ではありながらも普通のデイパックのように逆U字に開くわけではなく、逆台形型でトートバッグのように幅広に開口するため、まるでドローコード式ザックのように上から荷物を出し入れできるのでパッキングの具合が良い。この手の形状だとロールトップ式になりがちだが、ロールトップ式や、ドローコード式は開け閉めが面倒というデメリットがある。バディ16はあえてワンタッチのジッパー式にすることで利便性を優先しているのだろう。ガバッと一気に開口させるとき便利なハンドルは、電車内で手に持つときにトートバッグのように持つときのハンドルでもある。

 

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シンプルでありながらも目立たないギアループが随所に潜んでいるのも秀逸。別途自分でバンジーコードなどを用意すれば外付け機能やコンプレッションを追加できる。ギアループはサイドに2列ずつ配置されているのでフロントパネルを覆うように張っても良し、サイドコンプレッションのように張っても良し。また、このギアループに別売の「RUSH PLUS」という拡張パーツを取り付けるとフロントメッシュポケットを追加できるというのも遊び心がある。

 

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他のバディシリーズではフロントポケットを支えているアルミパーツが、バディ16では単なるフックとして独立しており、これは自転車のヘルメットをかけるのに便利だろう。それ以外にはあまり用途が無いように思えるが、デザイン的なアクセントとしては重要。ギアループに通したコードと組み合わせるのも面白いかもしれない。ここもパーゴワークスらしい遊び心が出ている

 

このバディ16、名前こそ他のバディシリーズの兄弟分となっているが、構造的にはトレランザックであるラッシュシリーズの兄弟分でもあるという印象を僕は受けた。僕は他のクラスのバディを持ってはいないが店舗で何度か背負ったことはある。その感覚から言わせてもらうと、バディよりラッシュに近いと感じた。

 

www.fast-packing.com

 

こう思ってしまうのは僕がラッシュ20ユーザーだからということは否めない。しかし実際に似ている点が多い。まず、コンプレッションの仕方が共に上下でコードを引くタイプ。ただしラッシュ20は擬似雨蓋があるため、中央1本締め、バディ16は雨蓋をあえて取っ払っているため、左右2本で締める形となっている。コンプレッションは中央1本締めのほうが荷物を安定させられるようにも思うが、バディ16は本体にあまり厚みが無い設計になっているため、左右でも必要十分ということなのだろう。共に開口はジッパー式ではあるが、バディ16は開ける際に雨蓋がペロンとならないのでスムーズに内部にアクセス可能だが、その分雨に弱い。

 

ラッシュ20同様の逆台形の本体形状は重心が上に来やすく、安定した背負い心地になる。ウエストストラップが無くとも、幅広のショルダーハーネスととチェストストラップを締めるだけで、ベスト型ザックに近いフィット感を得られる。ラッシュ20には一応ウエストストラップがあるが、これは取り外しが可能なオプショナル設計。

 

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幅広のショルダーハーネスとショルダーポケットはラッシュシリーズ譲り。このハーネスが背負い心地をよりラッシュに近づけている気がする。パワーメッシュのポケットはiPhone11がギリギリ入るくらいのサイズだが、あると無いとでは利便性が全然違う。

 

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ちなみにこのショルダーハーネス、なんとかスナップ(別売のショルダーポーチ)を取り付けることができた。

 

www.fast-packing.com

 

 

このように設計者の意図を読み取れば読み取るほど、欠点が無いように思えてくる。バディ16に欠点を見出す人は、おそらくバディ16以外のクラスや他のザックを買った方がいい。「こうだったら便利なのに」という発想も、別の見方をすると「なるほど、だからこうなっているんだな」と理解できる。考察すればするほど、全て合理的にデザインされていることを思い知らされる。

 

これからどんなシーンで使っていくか、考えるのを楽しみにさせてくれる、まさに「バディ(相棒)」の名にふさわしいザックだ。