アルコールストーブは登山で本当に使えるのかを考察してみる。
アルコールストーブの最も有利な点は軽量化に貢献するところだろう。僕の作ったアルコールストーブシステムの総重量は約246gで、これはマグクッカー、燃料、風防等…必要な物全て込みの重さ。それと比較してガスストーブの総重量は、ストーブ本体で軽量なものだと約100g、110サイズのガスカートリッジが約185g、110サイズのガスカートリッジがぴったり収まるチタンクッカーが約140gとなり、合計で425gとなる。となると約180gも軽量になる。
ただし、燃料効率(燃費)も、作業の簡易性もガスに軍配があがる。ある程度長期の山行や、軽量化よりも確実性を求めるならガスのほうがいいに決まっている。
どうしても荷物を削りたいときはアルコールストーブでもいいかもしれない。ただし、使用条件は限られる。
まず、気温が0度近くなるときはアルコールは不向きだ。燃料用アルコールが気化する温度は10度前後らしい。低温だとたとえライターの火を近づけてもなかなか着火しない。
また、炎は風に弱く、ガスと比べて沸騰まで時間を要する。休憩中の使用は不向きで、使うとしたらテントやシェルターの中でじっくり時間があるときがいいだろう。
だから、アルコールストーブは、あくまで夏の山中1泊登山での非常用や、火器が無いよりあったほうがいい場合に用いるべきだ。
とは言うものの、山を駆けるためには1gでも軽量化したい。たとえ実用性に乏しくても少しでも軽くしたという事実そのものが、足取りを精神的に楽にしてくれるものだ。
ちなみに僕は自作のアルコールストーブを使用している。アルミ缶製でトルネードタイプのもので、重さはわずか8g。高価な市販品もあるが、ネット上にいくらでも作り方は載っている。自作をお勧めする。