Mt. Taro Trail Base 太郎山トレイルベース

信州上田太郎山を楽しく軽く登るための登山基地(旧名:軽速山歩)

【新たなアルミ製ULクッカー】arata / ACP-500 / 58g

世界最軽量の新たなるアルミクッカー。

従来のアルミ製クッカーの課題

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アルミはアウトドアクッカーの主流素材だ。その理由はアルミの軽さと熱伝導性の良さが調理に向いているからだ。しかしULクッカーとなるとチタン製のものが主流となっている。その理由はチタンはアルミより薄く加工しても強度があるため、同じ強度ならばアルミより軽く作れるからだ。ただしチタンは熱伝導性が悪く、熱すると局所的に熱くなるため、燃料ロスが大きく、焦げ付きやすいというデメリットがあるので調理向きではない。しかし湯を沸かす程度ならば大きな問題はないため、フリーズドライやカップラーメンが食べれられれば十分というULハイカーの間ではタフなチタン製軽量クッカーが愛好されることが多い。

ここで注意しなければならないのは、チタンはアルミより材料自体が軽いわけではなく、薄くできるから軽いのである。ならばアルミを薄くしつつ強度を保てるとしたらどうだろうか。そのようなクッカーは当然チタンより軽くなるし、熱伝導性もよいので燃料ロスも少ないだろう。だがアルミは薄いと溶接ができないという課題があった。

チタン神話の崩壊

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これらの課題を美しく解決したのがこのACP-500(ACP-700)である。作ったのはarataという新気鋭のガレージブランドで、なかなか独創的なモノづくりで近年耳にすることが多いブランド。arataはこのアルミとチタンについてバッサリとこう言う。

「世の中の軽量ポットと呼ばれる製品はチタン製が主流である。しかしながら材料力学の観点ではこれは異常なのである。」

そんなarataが新しくリリースしたクッカー、アルミ合金製のACP-500はハンドル込みで実測値公称値共に58g。容量あたりでは世界最軽量のクッカーだ。ちなみにエバニューのTi Solo pot NHがシリコンバンド無しで64g(容量550ml)。これはまさにチタン最軽量神話を崩壊させるアイテム。いや新たなる軽量クッカー戦争の始まりとなるアイテムなのか。

もちろんアルミの方が軽量ということが知られてないわけではなく、一部のULハイカーにはアルミ愛好家もいるし、アルミのULクッカーも存在する。また、エバニューやSEA TO SUMMIT からは薄いながらハードアノダイズド加工をしたりハニカムリブ加工などで強度を高めているアルミ合金製クッカーやフライパンが既に世に出ている。

画期的な脱着式ハンドルユニット(11g)

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そのうえでやはりハンドルの取り付けが課題として残るわけだが、APCシリーズのハンドルはなんとチタン製のワイヤーと一体のユニットとなってクッカー本体に巻いて取り付けられている。ワイヤーはクッカー本体に刻まれた溝に延在しており、なんとその溝はそのまま目盛線を兼ねている。さらに本体の強度を上げる役割もあるという。

 

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このワイヤー機構だけでハンドルの取り付け問題を解決し強度向上に寄与するとともに、目盛にしているのだから、これはなかなか普通ではないアイデアだ。目盛は上のワイヤー溝がMAXの500mlで400mlの中間線があり、中心の溝が300ml、その下に200ml線が刻まれて、下のワイヤー溝が100mlだ。中央の溝にはワイヤーは通らないがデザインと補強と目盛という実用性のためにあるのが素晴らしい。

当然特許出願中とのことなので公開が楽しみである。

強度問題のクリア

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本体部は水平方向の3本の溝による強度アップに加え、底部もリブ加工で強度が高められている。加工技術の高さが窺える。

底部にはロゴが入っており、ここに火を当てるのはなんだか気が引けてしまうし、工芸品として美しいのも相まって火にかけることを躊躇いたくなる…。

表面は当然ハードアノダイズド加工。安価なアルミコッヘルのベコベコするような感じは全く無い。

細部へのこだわり

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リッドには極細チタンワイヤーのハンドルが付いている。リッドも極薄のアルミ合金なので独特の隆起形状で強度を出している。

もちろんハンドルは立つように設計されている。このサイズでチタンであればハンドルも熱くなりにくい。湯切り穴(蒸気穴)もある。


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ハンドルは軽量化のためにワイヤーではなくプレス加工した板を使用。持ちやすさを損なわない形状。繊細な加工技術とこだわりを感じる。


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専用のスタッフサックは別売りになっている。「スタッフサックくらいMYOGするからいいよ」というユーザーへの配慮だろう。スタッフサックなしの方が安い。


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別売りにするだけあってスタッフサックもメッシュの目が細かく丁寧なつくりなっており、サイズも絶妙。ちゃんと丸底で使いやすいものになっている。下手に作るより買った方が早いかもしれない。

スタッキングについて

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500はサイズ的にはアルストや固形燃料向きなので、もしガスストーブメインで使用するなら700をチョイスすべき。500でも110カートリッジとBRS社のチタンストーブなら問題なくスタッキング可能だ。

 

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500でもアルストとなると余裕を持ったスタッキングが可能で、30mlの燃料ボトルを立てて入れられるのが嬉しい。

 

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底面にはフォールダーカップも入れることができる。工夫次第だがフォールダーカップとアルスと一式を全てスタッキングすることも可能。

エバニューのTi-400NHとの相性がバツグン

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他のクッカーとの相性も見てみたが、私が持っているものだとエバニューのTi-400NHの中にACP-500を入れるのがよい。ジャストサイズ特有の弱い抵抗でぬるっと入っていく。がたつきもほぼ無しのシンデレラフィットだ。

 

ノーハンドル化してみた

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ハンドルユニットを外すのには少しコツがいるが慣れれば簡単に外すことができる。が、そもそもハンドルユニットの重さは11gと外す必要がないくらいに軽い。並のポットリフターを使ってはかえって重くなってしまうほどだ。最軽量クラスのEPIのピンチリフター(5g)を使えば6g程度軽くなる。それでもその程度なのであえて外す価値はあまり無いのかもしれない。

ピンチリフター2.0 T-8501

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「面白そうだから」買った

軽量クッカーの使い所をあえて言えば、私の場合は荷物をギリギリまで切り詰めたいテント泊縦走や、OMMのような泊まりがけで野山を走り回るレースなどだろうか。空焚き厳禁、傷入り注意なのでタフに使えるとは言い難いので扱いは難しい。

しかし、正直このACPシリーズは「荷物を軽くしたいから」というだけで買うものでもないと思う。私が買った理由は単に「面白そうだから」である。製品として面白い。ロマンがある。そう感じるだけで買うに値するものだ。使い道なんてあとから考えればいいし、結局使い道が無くてもいい。単に超薄いチタンのクッカーじゃロマンは感じにくくなってしまった昨今だが、このACP-500は久々に手に取ってみたい衝動にかられて、気づいたらレジャーズのオンラインストアでポチっていた。こんなワクワクするモノを作るarataには一層期待すると共に、これからのクッカー市場がどうなるかも注目したい。

https://shop.arata-design.jp/products/arata_acp-500_700

おわり

20260203