軽速山歩

登山者が実践するファスト・パッキングスタイルへの道

トレイルランニングで下山で起こる膝痛の謎に迫る

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先日の烏帽子岳登山で膝の痛みが発生した。ここ3ヶ月はランニングに集中し、久々の無雪期登山だった。このおかげで山とランニングの身体の使い方の違いや、身体に起こる疲労現象について、少しだけ輪郭が掴めたような気がする。

 

僕はここ1、2年ファストハイク的な登山をすると終盤に膝が痛くなる。これを解決することが目下の僕の課題なのだ。だいたいの場合、まず右膝が痛くなり、酷い時は庇った左膝も痛くなってくる。

 

まず僕が原因として考えたのは、着地衝撃が膝に来ている説である。だから着地の衝撃を膝で受けずに、脹脛の筋肉や腱で受け止めるような歩き方、身体作りをやってみようと思った。

 

着地衝撃がある運動といえば、ランニングである。着地衝撃をいなすような走り方を習得できれば登山でも活かせるのではないかと考えた。というのも、僕はランニング中に膝に痛みが出ることもしばしばあったのだ。

 

ランニングにおける着地衝撃はヒールストライクと呼ばれるものだ。これはフォアフット、ミッドフットと呼ばれる着地法で改善されるということは有名だ。僕はたちまちベアフット系やワラーチに傾倒した。

 

ミッドフット着地で走るためにはいわゆるベアフット系とも呼ばれるような、つま先とかかとの高低差(オフセットまたはドロップ差)が少ないシューズを選ぶのが良い。アルトラに代表されるようなゼロドロップシューズはその代表格だ。まずはゼロドロップでランニングを徐々に始めてみた。同様に山でもアルトラのローンピークを履くようになった。

 

継続して走ることでランニングにおけるヒールストライクは改善されて、それに起因する膝の痛みは無くなった。ミッドフットを意識することで脹脛に筋肉がついて来るのが実感としてあった。ミッドフットに慣れてからはホカオネオネを履いて走るようになったが、ランニングにおける膝の障害は出なかった。これはこれで良いことだった。

 

しかしこれで登山での下山時の膝の痛みは改善されなかった。僕の山での膝の痛みは着地衝撃は直接関係ないのではないだろうか?そしたらシューズは関係ないのではないだろうか?

 

ランニングの膝の痛みと登山の膝の痛みのメカニズムは必ずしも同じではないというか、膝の痛みの原因、メカニズムは調べれば調べるほどよくわからない。姿勢、癖、古傷等、様々なファクターがあり、人それぞれのようだ。もう一度振り出しに戻って検証してみることにした。

 

まず、痛くなる状況について分析してみる。総距離が30km以上で標高差が2300mのようなコース、14kmで標高差1200mのようなコースだと痛みが出た。いずれも痛みが出るのは下りがメインになる終盤だ。距離5km、標高600m程度なら痛みは出ずに終わる。平地の20kmでも痛みは出ない。

 

膝の痛みの原因は距離よりも標高差に起因するようだ。一定の標高差があれば、距離はわりと短くても発生する。

 

そうなると考えられるのは筋肉の疲労である。具体的にまず思い浮かぶのは大腿四頭筋疲労だ。大腿四頭筋は下山時にブレーキのように作用する。ブレーキを使い過ぎて疲労すると膝まわりに負荷がかかってしまう。しかし大腿四頭筋は本当に疲労しているのだろうか。膝が笑うような、ガクガクするような感覚はない。どちらかというと、膝を曲げ伸ばしすると膝の裏側が痛い感じだ。

 

それに、烏帽子岳でもそうだったのだが、下山でだんだんと大腿四頭筋が疲れてきたという感覚は無く、下山開始と同時に既になんとなく膝に違和感があって、膝に来そうだな…というのがわかっていた。つまり、下山を開始するときは既に膝が痛くなる用意が身体でできていて、その用意は登りで発生するのではないだろうか?このなんとなくの違和感は膝の裏側にあった。膝の裏側はそのまま腿の裏側、つまりハムストリングに繋がっている。

 

ここで仮説を立ててみる。ハムストリングを登りで使い過ぎて下りで膝関節に悪さをしているという仮説だ。

 

もう一度、烏帽子岳登山を振り返ってみる。登りのとき、僕は臀部、つまりお尻から腿の裏の筋肉に疲労を感じていた。原因はおそらく大股だったからだ。登山では歩幅は小さくするのがセオリーだが、早く登るためにストライドを広めにしていた。このとき、踏み込む脚では大腿四頭筋で上体を引き上げる力が発揮され、蹴り出す脚はハムストリングで上体を持ち上げる力を発揮する。僕はこの力のバランスが偏っており、蹴り出し過多になっていたのだ。

 

下山時、大腿四頭筋とハムストリングはブレーキの役割を果たす。このとき、筋肉はエキセントリック収縮(遠心生収縮)という収縮を起こし、かなり負荷がかかる。エキセントリック収縮について詳しくはググっていただきたい。とにかく下りは負荷がすごいので、結果として筋肉が更に疲労(硬くなっている)して衝撃吸収が出来なくなったり、着地がぶれたりして、膝に痛みが出るのではないだろうか?

 

カニズムとしては詳しくはわからないが(笑)。

 

現時点で検討すべき対策として、まずは筋トレ。大腿四頭筋とハムストリングの筋力補強、とくに、エキセントリック収縮を行える筋力トレーニンなど。踏み台昇降のバリエーションとして、ストレッチボードを利用した踏み台昇降などを検討中…。

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蹴り出す力を鍛えるのならば、このような動きの踏み台昇降も有効かもしれない。これらは検証中である。

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あと山に行かずに出来ることは坂道登りダッシュ、下りダッシュくらいだろうか。

 

技術面として、登り方で足の色々な筋肉を使っていくということ。大腿四頭筋や、ハムストリング、大臀筋など斜度によって負荷を考慮し、どの筋肉を使うのか意識し、一つの部位を使い過ぎないようにすること。

 

下りではスピードが出過ぎないようにコントロールすること、大腿四頭筋とハムストリングを意識して着地すること。負荷がかかりすぎないように着地は短く、リズミカルにすることなどだろうか。

 

正直言って、僕はトレランは登山の速い版だと思っていた節があった。登山の動きを早くするとあまり使わない筋肉に違う量の負荷がかかる。歩いてなら無傷で登り下り出来る標高差も、走ると身体がついていかないのだ。こんな当然のことをようやく身をもって知った。つまり、トレランでは戦略的に筋肉を選びながら使っていかないと、どこかがトリガーとなり下山で膝がぶっ壊れてしまう。

 

山を走って登って降りることは思ったより奥が深い。懲りずにまた色々試してみたい気持ちになった。