軽速山歩

登山者が実践するファストパッキングスタイルへの道

ストックの上手い使い方のヒントはクライミングにあるかもしれない。

ストックの登りでの使い方の話

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久々にストック(トレッキングポール)を使って山を登ってみた。ちょっと前にカラダスキャンをしたときに下半身は筋肉があるが上半身の筋肉が少ないと言われたので上半身をバランスよく鍛えるためにストックを使えるようになろうというわけだ。

最近は脚だけで登ることに拘ってたのでストックは倉庫で寝ていたが久々に出陣。いざ使ってみるとやはり登りやすい。四足獣のごとくスイスイと身体が持ち上がる。ここでひとつ思ったことがある。かつて山で初心者で体力に自身のない人にストックを貸したことがあるのだがそういう人に限って「使い方がわからない」「使わないほうが楽」と言うのだ。

なぜそうなのか?ということについて、単に「慣れていないからだろう」と思っていたが、今一度思考を巡らせてみて、なぜ慣れていないのだろう?と考えたところ、このストックを使った動き、すなわち四足歩行の動きに慣れていないのだと思い至った。

ストック歩行とクライミングの類似点

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ヒトは生後1年ほどで四足歩行は卒業し直立二足歩行にシフトする。そうなると四足歩行の利点や身体の動かし方を忘れるのも無理はない。だが大人になってからも4足で身体を移動させる機会があり、そのうちのひとつにクライミングがある。クライミングは垂直前後の傾斜の岩壁を登る動作をするわけだが、通常は両手両脚を駆使して登る。その際、手と脚の動きは連動しバランスを取り合って身体を重力と反対方向に持ち上げる。手と脚のみならず、腹筋、背筋、体幹も総動員となる。

この動きがストックの動作と通じるものがあると感じた。あくまで私個人の感想で何のエビデンスも無い話だが。

一般的にストックを突き立てる場所は前に突き過ぎず、つま先と同じくらいかやや前に突くと言われるが、私のイメージでは自分の目の前に80度くらいの傾斜の壁をイメージし、その壁にストックを立てかけるイメージ。つま先はクライミングのホールドに載っているイメージ。手はイメージの壁上のちょうといい位置のホールドを掴んでいるイメージ。それでその壁を登っていくような感じでストックを動かしていく。もちろん道の傾斜や段差によってストックの角度や突く位置は変わるが、平坦ならばつま先より前に出ない、傾斜や段差がキツければそれより前に出ていくが、基本ハシゴを登るイメージと言うほうがわかりやすいかもしれない。

ここで慣れが必要なのが、この架空の手のホールド位置は自分で臨機応変に変えなくてはならない、ということ。それこそ脚とのバランスなどをよく考えてどこにホールドがあれば身体が持ち上がりやすいかを理解しなくてはならない。おそらくこれこそがクライミングをやったことがあるか無いかで違ってくる点であり、ストックをうまく使えるかどうかの肝なのだろう。

クライミングに不慣れだとストックの扱いも不慣れ説

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脚の位置、踏み込む位置に呼応する場所に架空の手のホールドを想定し、それを掴むことをイメージしてストックを突き立てる。そして、そのまま腕から体幹を通じて脚の踏み込みに連動させ身体を持ち上がる。その動作の繰り返し。これらはボルダリングなどを通じて基礎的なクライミング動作がある程度身体に身についていれば訳なく出来ると思うが、それに慣れていないとどこにストックをつけばいいのかわからなかったり、ストックをついても適切なタイミングと場所が違うので逆に身体が動かしにくいということになるのだと、私は解釈した。岩場に不慣れな人がなぜかストックを岩場でも離さないのも似たような類の現象なのかもしれない。

自分でも無意識にやっていたことだが、ふと久しぶりストックを使ってストックがあらためて使いやすいことに気づいたことで、この動作を言語化できたんだと思う。私なりの気づきなので備忘録的にここにシェアしておこうと思う。

 

 

 

おわり

2024年12月29日