軽速山歩

登山者が実践するファストパッキングスタイルへの道

三俣〜常念岳〜蝶ヶ岳ワンデイ ラウンド登山

久々の北アルプスへ

2021年7月24日、日帰りで三股登山口から前常念岳を経て、常念岳、蝶ヶ岳まで縦走したのち、再び三股登山口へ戻るループコースの登山記録。

7月の連休、久々の北アルプスに行けるチャンスを得て、マイカーでアクセスのしやすい表銀座か後立山の鹿島槍かで悩んだが、綺麗なラウンドができることで有名な常念〜蝶に行くことにした。実は三股からは初めてで、常念から蝶ヶ岳も初めてだったので、ほとんどが初めて歩く区間となる。

 

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全行程所要時間ははおよそ8時間。ヤマレコによるとコースタイムの約0.5倍〜0.6倍。

0447森の広場駐車場(第二駐車場)発→0502三股登山口→0726前常念→0819常念岳→1034蝶槍→1111蝶ヶ岳→1258三股登山口→1308森の広場駐車場

参考までに。

 

装備

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スタイルはトレランスタイルでの日帰り速攻登山。荷物は極力削り、山小屋等での補給無しの前提で行動食もゲリー(アミノバイタル)とグミだけ。全てをラッシュ5Rに詰め込んだ。

 

北アルプス級の山でこのスタイルは初めてだったが、時間や標高差的には今まで経験したレース等と同等と考えて、スカイライントレイル菅平の装備とほとんど同じにした。

 

いざ出発、しかし駐車が核心

四連休の三日目、一番の懸念事項は駐車場が満車になっているのではないかということだった。朝3時頃出発、4時半頃に三俣駐車場付近に着くも、第一駐車場は案の定満車。少し下の第二駐車場には数台空きがあったのでなんとか駐車。

 

さっさと準備を済ませて出発。第一駐車場までのロードは小走りで進む。第一駐車場の先はしばらくオフロードがあり、やがて登山相談所やトイレのあるゲートに辿り着く。本格的な登山道はそこから始まる。

 

スカイランニングのような標高差を稼ぐ

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しばらくな樹林帯の急な登りが続く。トレランじゃなくてスカイランニングと呼ぶに相応しいコース。当然走れるような箇所はなく、ひたすらに地味にガシガシと高度を稼ぐ。途中、ストックも出す。

 

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これは本当によくないのだが、固形の朝ごはんを食べず、最初から粉飴ドリンクで補給していたので、なかなかエンジンがかからない感覚があった。セブンイレブンの黒糖わらび餅を一つ食べたらようなく身体が動き始めた感覚があった。

 

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6時48分、出発から2時間ほどで森林限界を越える。

 

 

気力は回復したが、最近高山に行っていないので、順応不足のせいか、空気の薄さをひしひしと感じた。高地トレーニング状態。

 

ルートファインディング注意

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ここから花崗岩の巨岩が連なる尾根となり、歩きやすい道はなくなり、岩に印されたコースマーキングの丸印を目安にして進む。場所によっては両手を使って登るところもある。ローカットシューズだったので岩で足首を擦ってしまった。ゲイターはしていたが、それでも後で見たら出血していた。

 

また、このようなゴーロ歩きにはやはりソールの硬い登山靴のほうが歩きやすい。速攻登山(ファストパッキングスタイル)と言ってもどうせ走れないので、シューズはトレランシューズではなくアプローチシューズタイプがいいかもしれない。

 

僕より速いトレランスタイルの人が先行していたが、ルートファインディングが苦手なようで、時間をロスしていた様子だった。この手の登山道に慣れない人は要注意だろう。

 

常念からは人多し

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前常念まで登ると穂高連峰が向こう側によく見え、常念岳も目の前に大きく聳えている。実に気持ちがいい。4年ぶりの北アルプスの空気に酔いしれる。この山に溶けていくような感覚がたまらない。ずっとこうしていたいと思いつつも、先に進まないといけないのが心苦しい。ワンデイの辛いところだ。

 

常念岳分岐まで来ると槍ヶ岳が見えてくる。人の数が格段に増えてくるので、歩き方にいっそうの注意が必要になる。

 

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常念岳山頂は狭いので写真だけ撮り、少し下ったところで休憩。レースでもなんでもないので焦る必要はない。あるのはざっくりとした制限時間だけだ。雷雨の可能性がある午後より前に下山できればそれでいい。

 

常念岳から蝶ヶ岳

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常念岳から蝶ヶ岳へは標高差200〜300mダウンで、かなり標高を落とすことになる。すれ違う登山者へ細心の注意が必要で、あまりスピードは出せない。

 

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蝶槍手前の樹林帯に入ると道が狭く、カーブも多いため、これまたスピードは出せない。暑さも増してくる。

 

最後に少しトレラン気分

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最後の登りを終え、蝶槍へ。ここから蝶ヶ岳まで距離は少しあるが、なだらかで岩場が無い登山道なのでようやく走れそう。

 

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ハイマツの下に親鳥とひな鳥一羽がいる。

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小走り程度しかできないけど、槍穂高の大パノラマを見ながらトレランを楽しむ。途中、雷鳥の親子に会う。蝶ヶ岳山頂に着く頃には周囲はガスに覆われた。雷鳥もいたし、午後は崩れるかもしれないと思い、そのまま下山へ。

 

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蝶ヶ岳ヒュッテのテント場は大賑わいで、この時間に上がってくる人も多い。なので下りはすれ違いが多く、なかなか飛ばすことはできない。雲取山のときもそうだったが、ワンデイ速攻登山の場合、時間的にこちらが下るときにどうしても登りの人とかち合ってしまう。

 

蝶ヶ岳から三股駐車場へ下降

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初めて見たゴジラは思っていたより低い場所にあった。

蝶ヶ岳ヒュッテから三股への下りは急ではあるが、木道の階段がよく整備されていて歩きやすい。しかし長くタフな道なので後半はすっかりバテ気味に。水場の力水に救われる。

 

三股ゲートで山小屋関係者と思われるおじさんに「何時間だった?」と聞かれ、「8時間でした」と言うと「もうちょっとだね〜」と低評価だった。「初めてだったんで」と言い訳をすると、どうやら見た目からもっとベテランだと思ったらしい。すみません、見かけ倒しで(笑)

 

装備について、次に活かすこと

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花崗岩に削られてアウトソールのブロックがもげた…。

 

今回は初めてファストパッキングスタイルでの北アルプスワンデイ縦走だった。低山や2,000m級の山では得られない気づきがいくつかあった。

 

まずシューズ。前述の通り、岩の上はどうせ走れないならソールの硬めのアプローチシューズのほうがいい気がした。ソールが柔らかいトレランシューズだとダメージがでかく、ソールがボロボロになる。前回の記事にも書いたが、やはりシューズは適材適所、適切な素材を適切な路面で使用するに限る。スタイルがトレランだからと言って、トレランシューズに合わない路面で使うのは形式主義というものだ。

www.fast-packing.com

 

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これなら日帰りからツェルト泊までいける

次にザック。今回5リットルのラッシュ5Rで登り、事は足りたが、ギリギリな感じがあって、北アルプスクラスの山ならもう少し荷物を増やすべきだと思った。行動食や水、削ったエマージェンシー系をもう少し増やしたい。20リットルあっても大きすぎることはないだろう。

 

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足回りについて、ゲイターのみでなく、やはりミドル丈のソックスがいいだろう。足首周りは岩に挟んだり擦ったりと怪我をしやすい場所だ。

 

体力面での振り返り

終盤、気力、体力が萎えてしまったのは補給不足なのか、体力不足なのか。あるいは両方かもしれない。補給がゼリーとわらび餅のみで、胃が少し気持ち悪くなってしまったのもあった。もっとザックの容量を増やして菓子パンやおにぎりなどのリアルフード系行動食を増やしていきたい。

 

翌日は筋肉痛はあまりなかったが、少し脹脛が筋肉痛気味だった。月に一回でも登りがきつい山に行って体を慣れさせておきたい。

 

おわり

2021年7月31日

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