バックパックと呼んだ方がカッコいいだろうか。でも慣れてないのでザックと呼ぼう。僕はこのザックを山と通勤両方で愛用している。最高に「ちょうど良い」ザック。
ちょうど良い点は二つある。まず一つ目、容量が絶妙にちょうど良い。
普通の夏山登山でテント泊をしようと思えば60リットル以上のザックを検討するだろう。小屋泊では30〜40リットルが推奨されることが多い。日帰り登山で15〜30くらいだろうか。
しかし最近は装備のコンパクト化により、吟味すれば30リットル程度あれば十分に夏のテント泊装備を入れることが可能だ。更に吟味をしていくと30リットルでもかなりゆとりが出てきてしまう。するとそれより下のサイズでもいけそうになことに気付く。
最初はレースや日帰りトレラン用の5リットルや15リットルクラスのパックで野営装備を入れらたらどんなに面白いだろうかと考えた。が、流石に僕の装備は入りきりそうにない。あと数リットルプラスされれば余裕がありそうだ…。そこで20リットルクラスに目を付けた。
ラッシュ20のちょうど良い点二つ目、それは絶妙な荷重バランスで走るのにちょうど良いところである。
一般的な5〜15リットルのトレイルランニング用のザックだと走れるが、容量が足りない。20リットル以上だとランニング仕様のモデルはグッと少なくなるので、ラッシュ20はそれだけで貴重なのだが、それに加えて走り心地も最高。
上下で締めるコンプレッションシステムが荷物の揺れを最小限にしてくれるし、ベスト型のショルダーハーネスが身体との一体感を高める。
特に気に入っているのは旧来のトレランザックとは違い、ウェストベルトで腰を固定しないところ。腰を締めてしまうと身体の動きが妨げられるし、シャツがずり上がりやすくなる。その点ラッシュは荷物の重心が限りなく高くなるように設計されており、みぞおちより上で背負うので、腰骨と干渉しない。登山用のザックが腰骨と背中と肩で背負うものだとしたら、ラッシュは肩甲骨で背負うイメージ。ザックと肩甲骨が一体化している感覚になる。
しかし20リットルといえども流石に山岳テントを入れるのは難しいので、野営用の幕はツェルトや簡易シェルターとなる。野営具さえ簡易化してしまえば基本装備を維持しつつ、無理なくパッキングが出来た。
これでベースウェイト約3.7kgの夏山ツェルト山中1泊装備だ。
全てパッキングしても水や食糧は十分追加の余地が残っている。
ラッシュ20はオプションでバンジーコードを外に付けることが出来るが、僕は付けないほうがシンプルで好み。枝へのひっかけを嫌うのと、外付けは荷物紛失のリスクがあるので避けたいというのがある。すぐに出し入れしたい荷物は最低限にして、下部のパワーメッシュスリーブに突っ込んでおくのがいい。
ここまで書いても、やっぱりラッシュ20の欠点が見当たらない。強いて欠点を言えば20リットルしか容量が無いことだろうか(笑)。ちょうど良いと言いつつもたまにもう少し容量が欲しくなることもある(笑)。だからラッシュ30というもう一個上のサイズクラスもあるのだが、僕はこれ以上荷物を増やすと快適に走るのが難しくなってくるのでやっぱり20リットルでちょうど良い。それに、「もう少し容量があれば…」なんて思うときはパッキングの仕方に問題がある場合がほとんどだ。
荷物の量に合わせてザックをを選ぶのではなく、ラッシュ20の場合、その容量に合わせてパッキングしなくてはならない思っていて、それが結果的に理想的なパッキングとなるのだ。まさにパッキング技術と軽量化術が試されるザックなのだ。