Vivoのミッドカットハイキングブーツ。無駄をそぎ落としたエシカルな「デコン:deconstructed」(再構築)デザインモデルをレビュー。
OMMなどのファストハイクで使用したい

OMMで履くシューズとして購入。やはりOMMと言えばノマディクス。ノマディクスと言えばVivobarefoot(ビボベアフット)。今までビボはプライマストレイル一足で山も街も兼ねていたけどやはりOMMに履いていくにはもう1足、そしてどうせならミッドカットがよかろうとクリアランスで見つけたのがトラッカーデコンである。
現行タイプとの相違点
トラッカーシリーズはビボの中のハイキングブーツシリーズ名でこのデコンモデルも現行形状と同じ部分はあるが、デコン(deconstructed)なので少し違う。現行のトラッカーシリーズも種類がいくつかあるのでどこがどう違うという単純な比較はできないが、明らかに異なる点をいくつかあげると以下の通り。
- ソールが違う:デコンはFG2(ファームグラウンド)ソール、現行モデルはAT(オールテレイン)ソールが採用されており、ATのほうがグリップ力が向上されているようだ。
- ソールベースの高さが違う:ラグの深さは4.0㎜で同一だが、ソールベースがデコンは3.0㎜、現行が2.5㎜となっているのでデコンのほうが全体として少し厚みがある。
- 履き口が違う:デコンは消臭機能つきメリノウールのニットソックスタイプで柔らかでフィットしやすい履き口だが、現行モデルはアッパー素材と同一。
- トゥガードの有無:現行モデルはつま先部分がラバーで覆われて保護されているが、デコンはそれが省略されておりアッパーのレザーが露出している。
- その他:デコンは修理や分解をしやすい前提のつくりになっているという特徴がある。
フレキシブルなフィット感

ビボならではの足指自由度はそのままに、ミッドカットになることで足回りの防御力が高まったような印象。ニットソックスタイプなのでミッドカットでありながらも足首まわりに自然に吸い付いてくるような履き心地が感じられるし、脱ぎ履きも楽だ。足首の可動域もミッドカットのシューズとしては格段に広い。足首のアッパーと足の甲のアッパーが別パーツとなっており、その境目の可動域がニットになっているため、現行のトラッカーよりもフレキシブルな構造になっている。レザー素材メインなので重さはそれなりにあって片足419g(サイズ41)。手持ちのアルトラ/ローンピーク4 RSM(364g)と比べると重いが、モンベルのレザー使用の軽登山靴で543gなので同クラスの中では軽量の部類に入る。
防水性が気になるところ

アッパーはヌバックレザー。性能として気になる点である防水性に関しては、メーカーはあくまで「耐水」を謳っているに過ぎない。レザーの天然の防水性はあるが、縫い目やニット部分やタン部分の防水性は無いので、あくまで耐水ということなのだ。OMMで使用するのにこの点は少し悩ましかったが、沢登りのように水に漬かることは避けられるだろうということで許容した。大雨だと浸水リスクはあるが、多少の雨なら耐えられるのではないかとも思っている。
歩いてみた印象

トレイルを歩いてみると当然プライマストレイルよりも厚みを感じるので地面の小石からの突き上げ感が少なく、着地時の安心感がある。ただしつま先がラバーで覆われていないため、岩などにこすれて傷や穴が開いてしまわないかという懸念は残る。アウトソールのフリクションについては、濡れた岩では少し弱いように感じるが、それは私がビブラムのメガグリップに慣れすぎたせいかもしれないので、特別滑るという印象はない。
インソールと耐寒性

インソールはアウトラストを内蔵したサーマルインソールが入っており、熱を吸収、蓄熱、放出する温度調節テクノロジーが内蔵されていて寒冷な環境でソールの薄さをある程度はカバーしてくれる。ただしシューズの柔らかさの特性からアイゼンの装着には限りがあるので冬場はチェーンアイゼン程度でOKの山しか行けないだろう。
ファストハイクに
ビボらしいベアフット感をちゃんと残しつつ、OMMの過酷さにも対応できるミッドカットの防御力があると感じる1足だ。山で軽快に進みたいけどちゃんと足首までの保護は欲しいとき、よき相棒になりそうだ。
おわり
20251011