クッション性のある靴は衝撃そのものの力を軽減する恩恵はあることは間違いないが、デメリットとして不安定さがある。それを補正するために身体には別の負荷がかかっていると感じる。
久々にトレランシューズを履いてみて

私は最近日常でもベアフットシューズを履いており、山でもほとんどベアフットシューズ(vivo barefoot)だ。夏場はロードランニングも8mmか6mmワラーチで走る。しかし先日薄底のまま踵で小石を思いっきり踏んでしまい思いの外そのダメージが残ってしまっていたので、久しぶりにクッションのある底の厚めのシューズで近所の裏山に行ってみた。そしたらなんとなくクッションのある靴を履いたときに起こる身体の反応がわかった気がしたので個人の感想として書いてみる。
一応断っておくと「底が厚い」といっても特別マックスクッションなわけではなくあくまでトレイルランニングシューズとしては中間くらいの厚みのシューズについての話だ。
クッションがあると不安定

クッションがあるということは、当たり前だが、端的に言うと足の裏と地面の間に柔らかく厚みのある物体を挟んでいる状態ということだと思う。つまり立ったり歩いたりするだけで潜在的に不安定さが伴う。その状態のまま下り斜面で靴底に摩擦(斜面に沿った向きの力)がかかるとする。しかもトレイルだと単なる直線方向の摩擦ではなく路面の凹凸に応じた複雑な方向の摩擦がかかることになるので不安定さは増す。
その不安定さがあるために、身体は瞬時にそのバランスをとって姿勢を保持しようと反応する。身体のアラインメントがズレるのでそれを補正するためとも言えそう。この際に足首や膝の関節、こまかな腱に負荷がかかっていると感じる。これが何km、何十kmという距離になってくるとよくわからない膝の痛みなどが出てくるのではないだろうか。
極端な話、仮に厚さ20cmのこんにゃくのようなクッション材の入った靴を想像してみて欲しい。言うまでもなく不安定極まりないだろう。平地を歩くだけで接地の度に足裏から上の身体はバランスを取らないといけない。姿勢を保持するために足首、膝、腰の関節や腱、全身の体幹を使うことは想像に難くない。
ベアフットシューズの恩恵と弊害

一方、vivoのような底の薄い靴を履いているとよく言われるのが、足裏の踏ん張りが効くということだ。つまりこれは靴底が受ける摩擦力を足の裏へダイレクトに近い状態で体幹に伝わるということ。簡単に言えば安定感があるということだ。地面から伝わる摩擦を厚いソールによって切り離されずそのまま身体で受け止めるので、身体はバランス調整を最小限にして、各関節を踏ん張ることのみに使うことができる。これはクライミングシューズが薄底であるこからも、薄底や裸足というのは安定感があって踏ん張りが効くということがわかる。
とは言え、薄底のデメリットはやはり衝撃吸収性の乏しさである。接地の時の鉛直方向の衝撃は軽減しないし、その衝撃負荷は脹脛などの大きな筋肉に蓄積される。だがそれは本来動物として裸足で生きていればかかってくる負荷なので、トレーニングや歩き方の工夫次第である程度克服できるものだと私は思う。
では薄底が至上なのか?
全ての人は薄底シューズを履いた方がいいのかというと、そう言うつもりはない。
底の厚い靴を履いて山を駆け降りたとしても、日頃トレーニングをしていてバランスを立て直す反応速度が速い人、バランスを取るための筋肉や腱が強い人はダメージがすぐに蓄積するわけではないだろう。それに衝撃に対して絶妙に潰れにくくバランスが崩れにくいミッドソールのシューズもあると思う。その場合は厚底の利点は大きい。
しかもあまりにも薄底ではどうしても着地に気を使うが故にスピードは出しにくくてスピードレースには向いてない。
結論、好きな方を履けばいい
結局薄底も厚底もそれぞれにメリットとデメリットがあるので、ケースバイケースで好きに履けばいいと思う。しかしミッドソールが厚めのクッションのあるシューズで足首を捻りやすいとか、膝を痛めやすいという人は、一度薄底のシューズを履いてみることをおすすめしたい。両者を履き比べることで自分の脚や身体に何が起こっているのかがわかるかもしれない。そうやって自分の弱点や特性を理解して山やトレーニングに向き合うことは良いことかもしれない。
おわり
20250928