軽速山歩

登山者が実践するファストパッキングスタイルへの道

EVERNEW Ti Solo pot NH チタンソロポットノーハンドル 75g

エバニューのU.L.(ウルトラライト)を攻めたハンドル無しソロクッカーをレビュー。クセの強い製品だが、はたしてハンドルが無いことはどのような影響があるのか?

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エバニューの攻めたクッカー

昔から日本の登山用クッカー、コッヘルシーンを牽引してきたエバニュー。アウトドアクッカー業界大手であるにもかかわらず、ガレージブランドに勝るとも劣らないくらいのU.L.(ウルトラライト)志向を見せつけるているのがすごい。

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僕の持っているエバニュー製品は10年前くらいのチタン食器やシェラカップだが、久々に買ってみた。そう、ノーハンドルモデルである。UL界隈ではわりと普通なのかもしれないが、普通の発送だとハンドルが無いのは不便だと思われる。それをなんとか我慢しようというのがUL志向である。

ハンドルが無いことの影響

とはいえ、ハンドルなしだと熱くて鍋を持たないので本体に巻かれた耐熱シリコンリングを掴んで鍋を持つようになっている。はたしてこれで熱くないのだろうか?

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実際にお湯を沸かしてみた。アルコールストーブを使用したが、アルコールストーブの場合、炎が鍋からはみ出しているとはみ出した側を掴むのが熱い。熱がサイドから直に上がってくるからだ。そこを気をつけないといけない。

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あと、僕は手のひらが男性としては小さめなので片手で掴むと指が十分に回せない感がある。つまり持ちにくい。女性は不向きだろうし、熱さにビビらないように持つためにはコツがいる。両手で持った方がいいのかもしれない。

コーヒーのドリップはハンドルタイプより繊細にできるという説もあるが、僕個人的にはハンドルありの方が手に力を入れずに済むのでやりやすいように思う。

思うに、鍋に水が入っていると下が重くなるので、テコの原理の逆で上を持つとなると力が余計に必要になるのだと思う。逆に下を掴めれば持つのは楽になりそう。

シリコンリングが熱くなる!?

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次にガスストーブを使用してみた。こちらのほうが火力が高くクッカーがよく熱せられたせいか、シリコンリングを持っても熱い。熱くて持つのが困難なレベルだ。慣れてないと危ないし、場合によっては綿の手ぬぐいやタオルが必要だと思った。

火を消した後蓋を取ると冷めてきたのか持てるようになった。チタンが薄いので冷めるのも早い。「持てぬなら冷めるまで待とうノーハンドル」

メモリ、スタッキング、付属品

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メモリが160、330、400mlとやや半端な数字になっているのは、ドライフードやカップ麺の必要な湯量に即したものとなっているらしい。例えば尾西のアルファ米(うるち米)は160ml、日清カップヌードルリフィルは330ml、カップヌードルBIGやどんぶりのカップ麺は400mlの湯量となっている。

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内径は実測で90mm±1.0mm程度。110サイズのガス缶が収納できるサイズで、同時にコンパクトなストーブヘッドを収納可能。写真のストーブはSOTOのアミカス。

 

 

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ソフトタイベック製のスタッフバッグが付属。白のタイベックはすぐ汚れやすいので注意。

ハンドルはあった方が便利

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少し使ってみた僕の感想は「ハンドルはあったほうが便利」である。といってもハンドル有りタイプを買い直すのも馬鹿らしいので、ポットリフター(鍋つかみ)を追加購入。ここは本当なら同じエバニューのNABETSUCAM(公称14g)を選ぶべきだがそれよりも1g軽いSOTOのマイクロリフター(公称13g)にした。

ハンドルを追加すると重量は?

ここで懸念すべきはポットリフターを追加したらハンドルありのタイプと同じ重量になるのでは?という問題。エバニューのハンドル有りモデルMP500Flatは79gである。これより軽くせねばならない。そのためにはシリコンは外す。シリコン無しの本体重量は65g。

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結果的に残念ながらハンドル有りタイプと同じ重量(79g)になってしまった。誠に遺憾であるが仕方ない。マイクロリフターの公称重量は13gなのに実測14gなのがいけない。

でも良いこともあって、ハンドル付きモデルはアルストの炎がはみ出すとなんだかんだ熱くなるが、ポットリフターを使えばその心配は無い。

マイクロリフターとの相性

ちなみにSOTOマイクロリフターはSOTOサーモスタック用なのだがエバニューとの相性は悪くはない。

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蓋をしたまま注ぎ口から細かくコーヒーをドリップするときはちょうど良い。ただし傾けすぎると隙間からも少し漏れる。

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蓋を取るとリフターに角度がついてしまうためやや使いにくいが、持ち上げる分には全く問題ない。

蓋をしたまま熱した後に蓋を取りたいときは注ぎ口をポットリフターで抑えながら蓋の取手を持ち上げるという繊細な作業が必要。

ユーザーが試されるクッカー

というわけで色々とクセが強いクッカーなのだ。形状としては極めて単純なものだし、ハンドル有りと比べて部材が減ってるのに値段が上がっているが、極薄のチタン加工技術がすごいから良しとしよう。使う人間を試すクッカーなのでどのように使いこなしていくか、試行錯誤を楽しんでいける人向けの製品だ。

 

 

 

 

おわり

2024年2月6日