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登山者が実践するファストパッキングスタイルへの道

Milestone MS-G2(マイルストーン)46g(本体のみ28g)【レビュー】

ヘッドランプのサブ機をレビュー

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僕はヘッドランプ(以下、ヘッデン)といえば、ペツルだとかブラックダイヤモンドといった海外品ばかり使ってきた。それらは実績が多く信頼のできるブランドだし、実際品質も良い。しかしこの2020年、ヘッデン問わず、アウトドア用品、様々なプロダクトの選択肢は10年前とは比べ物にならないくらい増えている。

 

目次

 

milestone (マイルストーン)という日本製ヘッドランプのブランドがある。僕が知ったのはここ2年くらい。マイルストーンのみならず、SOTOやパーゴワースを始めとする日本のアウトドアブランドの躍進はここ10年で目覚しい。当然ながら、もともと日本企業だって技術的にはかなり前からポテンシャルはあった。たとえばモンベルはその先駆けだ。しかし日本ではマーケットが大きくないゆえ、総合ブランドにならないと商売にならないのが実情だった。だが近年になってマーケットが成長し、インターネット、特にSNSの発達により「ガレージブランド」でもちゃんとメジャーで商売ができる環境が整ってきた背景がある。

 

そういった実力のある日本のアウトドアメーカーでヘッデン部門がこのマイルストーンのようだ。とは言うものの、僕は少し古い型の人間なのでやはり海外製品に少し後ろ髪を引かれており、存在を知りつつも実際には手を出さずにいた。

 

この度、ランニング用のヘッデン、今使っている160ルーメンのブラックダイヤモンド「スポットライト160」にいささか不満があり、強化出来ないものかと思案していた。不満というのはやはり光量不足である。実際は実用可能なレベルではあるが、冬の朝の真っ暗なランニング、正直やる気が出ない。どうやら明るければ明るいほど僕は元気が出てくるらしい。冬山登山でも夜明け前に滅多に出発はしないタチなのだ。

 

とは言え、スポットライト160は非常にパフォーマンスの良いヘッデンだとは思っていて、これはこれで十分使える。なのでサブ機的なものを追加でランニング中に使用するのが最適だと考えた。そこでたどり着いたのがマイルストーンのMS-G2だった。

 

軽量、高出力、USB充電型ヘッドランプ

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ランニングや山でサブ使いをするならUSB充電型が使い勝手がいい。

 

メイン機は山行を通じて使うため、電池交換式のほうがいい。一方、サブ機は必要に応じて明るさが足りないときの補助として使うため、そんなにバッテリーをガンガン消費する前提では使わない。最悪バッテリーが切れてしまっても構わない。だから軽量化優先の使い切りタイプでいいというのが僕の考え。

 

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また、USB充電式にすることで、家や街にいればいつでも気軽に充電できることで、デイリーユースにはとても便利だ。これは朝夜のランニングに使うにはちょうどいい。

 

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MS-G2は本体重量28g、バンドを含めて46gと軽さは文句のつけようが無い。それでいて最大光束は400ルーメンというから驚きだ。


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クリップが付属し、ザックやベルト等に取り付け可能。これがとてもありがたい。

 

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パーゴワークスのラッシュヒップに取り付ける際は、中心のコンプレッションコードで挟むと脱落の心配が無い。


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もちろんバンドを使用して通常のヘッドランプとしても使える。バンド幅は広めで安定感がある。


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バッテリー形式はリチウムイオン充電池内蔵でUSBで充電を行う。サブ機としては理想的なスペック。その他、防水等級はIPX4で水の飛沫までなので普通の雨までなら耐えられるレベル。

 

MS-G2の実力

事前にTwitterでフォロワーさんから「バッテリー持ちが悪い」との情報をいただいていた。最大光束は400ルーメンであるが、その最大の力は30分も持たないらしい。※使用してみてそれは温度がかなり影響するらしいことが判明(2020/12/25追記)

 

まず、明るさについて、僕が感じたことをいくつか。

 

ビーム照射ではなく、拡散光なので非常に明るいが照射距離はめちゃくちゃ長いという感じはしない。上から電灯で照らされているように自分の周囲がパッと明るくしてくれるような光を出してくれる。

 

ミックス色灯、電球色灯、赤色灯、赤色点滅のモードがある。ミックス色灯が一番明るく感じた。ミックス色最大光束使用だとバッテリー寿命は2時間。他のカラーの最大光束使用時の寿命は4時間。

 

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これはミックス色灯で最大光束で照らしている状態。ミックスが一番明るい。

 

ちなみにお腹に装着している。午前5時50頃の夜明け前、iPhone11で露光無しで撮影。実際はもう少し赤みがあるように感じた。

 

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白色灯で最大。実際はもう少し青白っぽく感じる。


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電球色灯で最大。実際はもう少し赤っぽく感じる。


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赤色灯。これは手元の地図を見る際や点滅させてテールライトに使う。

 

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これはブラックダイヤモンド・スポットライト160単体(160ルーメン)。頭に装着。点照射のため、照らし出される面積は少ないが、これだけでも十分明るく感じる。これに先ほどのMS-G2の照射(ミックス色)を加えると、

 

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点で照らされた部分以外の周りの暗い部分までしっかり照らされ、いい感じで補完される。周囲が明るくなるので、点を照らすようなヘッドライトと併用するとちょうどいい。

 

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頭に取り付けるとこのようにかなり遠くまで広く明るく照らさられる(ミックス色)

 

バッテリー寿命について(2020/12/25追記あり)

さて、問題のバッテリー寿命であるが、僕はMAX充電をしてからテスト使用してみたが、ずっと最大光束で使用していたら、なんと10分程度でバッテリー残量インジケーターが緑から黄色に変わったではないか。

 

バッテリーインジケーターの色は緑が残り100〜55%、黄色が残り55〜10%、赤が残り10%未満ということだ。

 

ただし、外気温はマイナス1℃くらい。気持ち明るさも弱まったような。先ほどの写真の明るさは最大光束でやったつもりだったが、すでに最大ではなかった可能性があるので、あくまで目安にしてほしい。

 

ちなみに、後日外気温8℃でランニングを55分したところ、バッテリー残量はずっと緑点灯のままだった。外気温はかなり考慮に入れたほうが良さそう。おそらく0℃付近まで下がると途端にダメになるのかもしれない。

 

とはいえ、最大光束で使用し続けていると勝手に無段階光量調節が行われているようだ。つまり、最大光束でバッテリー寿命2時間というのは、最大光束400ルーメンが2時間続いて、2時間経ったらパッと変えるのではなく、右肩上がりの曲線のように、バッテリー残量は減っていき、それに合わせて光束量もどんどん落ちていき、中盤は最弱状態が続き、やがて消えていくということだ。

 

よく考えれば当然のことなのだが、もう少し最大光束の維持時間が長ければ良いとは思う。とはいえ、仮に半分になっても十分明るいので、最初から光束を絞って半分のパワーで使えばその分長持ちするということである。

 

参考までに最弱10%だと各色このくらいの照度になる。

 

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ミックス色、これなら8時間もつ。


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白色。これなら14時間もつ。


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電球色。これなら14時間もつ。

 

足元を照らすだけなら、使えるレベルの明るさだと思う。単純に40ルーメンなので、すげー明るい!とはならないが、あるとないとでは雲泥の差である。

 

ヘッデンは大事な命綱

僕は屋久島3泊4日の山行の1日目の夜でヘッデンの電池を切らしてしまったことがある。変えの電池も無く、2日目にはもうほぼ完全に切れていたので本当に色々と難儀した記憶がある。そういうときはスマホやデジカメのディスプレイの灯りですら明るく感じるものだ。

 

何はともあれ、MS-G2を山中である程度長時間使うことが想定されるときは、無駄に最大光束にしようとは思わずに節電を心がけたほうがいい。それでも十分補助的な明るさはあるのだから。ヘッデンは命綱であるので、MS-G2はバックアップとして用意しておくたいうつもりがちょうど良い。

 

最後に、明るさの感じ方には個人差があること、文中の写真はあくまでイメージであり、実際の感じ方とは異なる場合があることを断っておきたい。

 

 

 

おわり。