軽速山歩

登山者が実践するファストパッキングスタイルへの道

信州・烏帽子岳バーティカルキロメーター往復再チャレンジ

今年の6月に挑んだ長野県上田市と東御市にまたがる烏帽子岳の標高差1,000m以上を駆け上がるコースを再度挑戦してきた。スタート・ゴール地点は上田市民の森(市民の森公園 - 上田市ホームページ

 

山行日:2020年11月22日(日)

この日の上田市内の予想最低気温は2度程度だったと思うが、実際は氷点下まで下がっていたようだ。朝5時半頃、車体表面は凍っていた。市内の道路沿いにある温度表示もマイナス1度を表示していた。

 

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凍てつく車。

 

この時期のウェアのレイアリングはいつも悩ましい。ましてトレランスタイルでのファストハイクのため、温度調節が難しい。きっと動いていれば暑いはずなのだが、いかんせんスタートが寒い。

 

さらに事前に犯したミスがあって、それは持ってくるザックの容量を間違えたこと。今回は荷物をざっくりとスタッフバッグに突っ込んで持ってきており、パッキングは後からやろうと考えていた。しかしうっかり夏山と同じ要領で5リットルクラス(ラッシュ5R)のパックを持ってきてしまった。流石に防寒具を入れたらパンパンで、ちょっと取り回しが悪い。20リットル(ラッシュ20)にすればよかった。

 

しかし後悔先に立たず。既に持ってきているもので行くしかないので、ラッシュ5Rに詰め込みパッキング。そしてラッシュヒップも腰に巻いて装備は完了。

 

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PAAGO WORKS ラッシュ5Rの中身

  • 化繊インサレーションジャケット(The North Face レッドポイントライトジャケット
  • エマージェンシー&ファーストエイド
  • ヘッドランプ(Black Diamond スポットライト160
  • 雨具(mont-bell バーサライトジャケット&パンツ
  • ハイドレーションパックの水1リットル(オスプレー
  • アクエリアス500mlペットボトル
  • プロテインバー等
  • 鍵、財布(PaaGo works トレイルバンクS

 

PAAGO WORKS ラッシュヒップの中身

  • プロテインバー等
  • スマホ
  • グローブ(WORKMAN メリノウールグローブ
  • タオル(もってこタオル

 

これ以上は入らないため、食料、水等は削るしかなかった。

 

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まあとりあえずいいか、ということでスタート。駐車場で装備を整えたり、トイレに行ったりして、なんだかんだで6時51分から歩き始めた。日はすっかり昇っている。化繊ジャケット以外を着込むフル装備でスタート。

 

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公園内の舗装路を突っ切り、車止めから舗装された林道に入る。前回6月に来たときは蜘蛛の巣に苦戦を強いられた。今回は流石にそれが無く、非常に歩きやすい。なんのストレスも無く足が進む。舗装路林道のつづら折りを抜けると土の登山道に入るが、そこからしばらくは走れるトレイルが続く。

 

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烏帽子岳山頂まであと○kmという標識の距離はあまり当てならない気がするので目安で見ておこう。

 

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烏帽子岳のこのコースは比較的傾斜の緩い走れるパートが多い。走れる箇所をしっかり見極め、少しでも走っておくことが全体のタイム短縮に繋がる。ここをもう少し徹底できれば、まだまだタイム短縮の余地はあるように思う。

 

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落ち葉が多いのと、寒さ対策で今回はゲイターを標準装備。ヘリテイジのトレイルランニング用のショートゲイターだ。僕はローカットシューズのなかに石や葉が入るのを気にするタイプなのでゲイターを付けるとすこぶる調子が良い。シューズはALTRA ローンピーク3.5(そろそろ買い替えたい)

 

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実はラッシュヒップを山に投入するのは今回が初。使い勝手の良さは平地でも存分に実感しており、山でもその使い勝手は想定通りで良いものだった。飴などの小物、よく使うスマホ等、ドラえもんのポケットのようにアクセスできるのはとても便利。

 

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今回のウェアはスタートから最後まで防寒シェルを着っぱなしだった。

 

行動中のウェア上

  • アウター :WORKMAN アクティブシェルジャケット 99g
  • ベースレイヤー:Patagonia キャプリーン・ミッドウェイト
  • グローブ:WORKMAN メリノウールグローブ
  • 夏用帽子(mountain equipment )

 

行動中のウェア下

  • ベースレイヤー:WORKMAN メリノウール100%タイツ
  • ミドルレイヤー:NIKE TRAIL ショーツ
  • アウター:mont-bell バーサライトパンツ 83g

 

失敗したなぁと思ったのが下半身。途中で脱ぐだろうと思っていたバーサライトパンツを結局下山まで履いていたので、最初からメリノタイツ+finetrackのフロアラップパンツの組み合わせにすれば良かった。

 

いくらランニングありのコースでも冬場にショートパンツはちょっと寒いことが判明(わかっていたが)。特に大腿筋は冷えたら動きに支障が出そうなのでしっかり防風できるたほうが良い。スタイルより効率、実用重視で行くべきなのだ。

 

それに、バーサライトパンツは雨具でもあるため、あまり酷使をしたくない。もし転倒したり引っ掛けたりして破損したらそれなりにへこむ。ストレッチは効かないがそれは気にならなかった。

 

上半身は無難に選んでおいたキャプリーンのミッドウェイトが良い仕事をしてくれた。そしてワークマンのシェルもちょうど良かった。脱ぎ着の必要性も特に感じることもなく、動いて身体があったまっても、山頂の強風でも一定の快適さをもたらしてくれたのでとても優秀だった。このワークマンのシェルは99gと超軽量なので羽織っていても存在感が無いくらい身軽だ。

 

忘れてはならないのがグローブ。ワークマンのメリノウールグローブは暑くもなく寒くもなく絶妙だったのでほぼつけっぱなし。980円という破格のせいでラフに使えるのが心強い。ストックもあと2つあるし。

 

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伐採地からは冠雪した北アルプスの景観が見事だ。

 

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伐採地からおりたときに林道を真っ直ぐ進む。道標を見失わなければ迷うことはない。

 

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中盤までくると、烏山林道を何度か横切る。ここも行きすぎると迷うかもしれない。


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登山道自体はレースをやっているだけあり、整備されていてとても歩きやすい。


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林道を何度か横切って、角間温泉との分岐まで来ると山頂は近い。ラストスパートをかけるならここだろう。間もなく木の背は低くなり、岩が露出した森林限界となる。

 

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四阿山、根子岳がよく見える。

 

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前日できたであろう霧氷が風で飛ばされて地面に落下していた。

 

岩場に入ってようやく山頂まで2時間を切れるのではないか?ということに気づく。ガムシャラに登るが岩場でペースは上がらない。もうすぐ山頂だとわかっているがゆえに、少し油断していたのかもしれない。山頂は僕の想定よりほんの数メートル先に感じられた。その結果、タイムは2時間と9秒。これは悔しい。もう少し早く、せめて角間渓谷分岐からスパートがかけられていたら…。

 

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山頂。


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遠く、富士山が見えた。


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北アルプス北部の雄大な山並みもバッチリ。南部は少し雲がかかっていた。

 

山頂は台風のような爆風だったが、全力を出した僕にとっては寒くなかった。寒くなる前に下山を開始。防寒着を出すのも面倒だ。

 

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とは言え、フードは着用。ワークマンのアクティブシェルジャケットは大きめのフードで防風性が高い。

 

スカイレースではないので下山まで気は抜けない。今回実は山頂へのタイムより気がかりだったのは下山で膝の痛みが出るかどうかであった。

 

僕は今までこのようなスピードハイク、それも標高差1,000mを越えるような山では下山で必ず膝に痛みを発症していた。当然前回6月に烏帽子岳に登ったときも下りで膝がダメになって結局総行動時間は5時間近くになってしまったのだ…。

 

これまでの経験から、膝痛が発症するのは登りで大腿筋や大臀筋に負荷をかけ過ぎているからという仮説を立ててみた。つまりは単純に脚の筋力が足りないのである。筋肉が弱ってしなやかさが失われて着地の衝撃を膝がもろに受けてしまう。痛みの発生箇所やタイミングからしてそのように推定した。

 

そう考えたのが6月、そしてその後、9月からトレーニング法を変えてみた。漫然と距離を走るだけでなく、蹴り出す力をつける無酸素運動を取り入れた。これについてはまた別個で記事を書こうと思う。

 

その結果、自分でも驚くほど全く膝痛が無かった。通常なら下り始めて間も無く痛みが来ないにせよ、違和感というか、うずきがあり、痛みの予兆がある。しかし今回はそれすらない。調子にのって小走りで降り続けても痛みは来ない。

 

とうとう下山まで痛みはおろか、予兆すら来なかった。ここまで効果が出るものかと我ながら驚嘆した。

 

負け惜しみかもしれないが実は登りは少しセーブしていた。登りで脚を使いすぎたら下りでダメージが来てしまうという懸念があったからだ。しかしこの調子ならもう少しペースを上げても良さそうだと感じた。

 

このコースはなだらかな登りが多いので下りも快調に走れる道が多い。膝痛に苦悶することなく、樹間に白い北アルプスを見ながらのトレイルランニングは最高の一言だった。

 

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市民の森駐車場に戻ったとき、総行動時間は3時間24分。当たり前だが前回より遥かに速い。ちなみにこのコースは標準コースタイムで登り4時間、下り2時間半である。かなり良いペースで動くことができた。

 

今年の山行はもしかしたらこれが最後かもしれない。しかし身体を上手く使った悔いのない山行ができたので、大変満足感が高いものとなった。次回に向けてまた日々励むのみである。

 

おわり。